平成15年に開業以来感じることは、赤ちゃんを望まない女性よりも、望んでも赤ちゃんに恵まれない女性がなんとたくさんいることでしょうということ。
この比率は喜んでよいのか、また悲しむべきなのか悩むところです。
人工妊娠中絶が少ないのはよしとしても、やはり不妊が多いのは困ったことですし、世の中の為とおもい、現在不妊治療に励んでいる私なのです。
しかしいつまで私のクリニックで経過を観られるか、いつ治療のステップアップに切り替えるか、いつ又は何歳まで不妊治療を続けるか、この見極めに時々頭を悩ませています。
そんな一連の治療の中で、男性の検査も扱います。
そして男性サイドに問題のあるケースが3〜4割にあることに気づきました。
案の定、最近の報告によると男性不妊が急増し、環境中の有毒物質などが原因ではないかともありました。
<この50年間に人間をふくむ動物の精子の数が減少し続けている。>
<複数の分析結果で、男性の生殖能力にはっきりとした減退が生じている。>
との見解あり。
環境ホルモンだけでなく、私たちは毎日ストレス社会の中で暮らしています。
そこで男性だけでなく、月経不順や無月経の女性も外来に押し寄せます。
このストレスは同じように男性の視床下部・下垂体の機能も障害し、ひいては不妊原因となってきます。
さて環境ホルモンとは、生物の内分泌機能に影響を及ぼす化学物質といわれ、私たちの体内に入りホルモンと同じような働きをしたり、ホルモンの働きのじゃまをしたりするものなのです。
別名、内分泌撹乱物質・・・すごい名前ですね。
環境ホルモンは、蓄積型であったり母親から胎児への移行であったり因果関係の解明が難しいものです。
環境ホルモンの種類は、産業化学物質・ダイオキシン・農薬、医薬品(合成ホルモン)・天然物質等あります。
精子数が減少していると言えば、環境ホルモンの影響が取り上げられています。
男性不妊において問題となるのは精子の数と運動率です。 乏精子症とは精子の濃度が2000万/ml以下、精子がいないのは無精子症、運動性からみて前進する精子が50パーセント未満または活発な直進運動をする精子が25パーセント未満の場合を精子無力症といいます。
重症の場合は治療を試みても自然妊娠は難しく、人工受精や体外受精にきりかえても受精は困難です。
結果が思わしくない時は、まず体調の良いときを見計らって再検査を勧めます。
その時かならずご主人の体調を聞きますが、どの奥さんもご主人の体調不良を訴えます。
働きすぎとストレス(ホルモン失調の原因)と、又ときに環境ホルモンの影響(活性酸素の増加や血行不良の原因・抗テストステロン作用)を心配される方がいらっしゃいます。
先日は、この環境ホルモンの中のすずや有機溶剤の影響を心配されるかたもいらっしゃいました。
さっそく調べてみたら、有機すずと言えば生殖毒性が知られていましたし、有機溶剤ではシンナーや塗料に使われるセロソルブ類などのなかにも精巣萎縮などの毒性があることがわかりました。
こう考えていくと、私たちの身の回りにはたくさんの怖い物質があり知らない間に毒されてしまっているのですね。
一婦人科医の嘆きでした。
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