女性外来コラム

第30回 妊婦とインフルエンザ

インフルエンザはウイルスによっておこる急性感染症で、高熱・頭痛・関節痛などの症状があり、1〜2週間で自然治癒します。
しかし乳幼児や高齢者・基礎疾患をもつ人は、稀に重症化して死亡することもあります。
また妊婦は細胞性免疫が低下しているので、重篤な合併症を起こしやすいとされています。
妊婦がインフルエンザに感染すると、激しい咳によって子宮収縮やまた破水の原因となったり高熱によって胎児仮死の原因になったりします。

抗ウイルス剤の種類も変化がみられ、現在はノイラミニダゾール阻害剤やリン酸オセルミビンが使われています。
投与は発症から48時間以内が有効でありますが、共に胎盤や乳汁への移行が報告され大量投与により胎児骨格異常(動物実験による)をきたすという報告があります。
よって妊婦における危険は未知数で、使用には十分な注意が必要です。
また投与中の授乳はさけた方がよいでしょう。
インフルエンザに対して混合感染を防ぐ意味で、ベータラクタム系の抗生物質を投与することがあります。
しかしベンジルペニシリンは、体内での酵素を阻害することにより病期の延長をきたす可能性があるので注意が必要です。
一方、細胞性免疫の低下した妊婦は細菌による上気道感染を併発することがあり、合成ペニシリンやセフェム系抗生物質の短期間投与を行うことがあります。

インフルエンザワクチンの接種については、妊娠14週以降の健康な妊婦に、また合併症のある妊婦は妊娠全期間にすすめていました。
またこのワクチンは不活化ワクチンであり、これによって流産や胎児奇形のリスクが上がるという報告はありません。
現在日本産婦人科学会では、ワクチン接種を妊娠の全期間に応じて患者の求めに応じて可能であるとしています。

今年は例年より1ヶ月早いインフルエンザの流行が予想されています。
数年前には、妊娠中期の妊婦さんがインフルエンザ肺炎になり都立病院に搬送した経験があり、ワクチンの接種をすすめたくなるのが本音です。

 
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